2022
06.21

「この本を読んだ感想」と「この電子書籍を読んだ感想」は重なるだろうか?〈ほぼ雑記〉

Intelligence

このHP、一見しただけでは何をしている会社の何アピールなのか不明で、果たして入り込んで大丈夫なのかと思われがちっぽいんですが、安全です。
あえて、「あえて」少々ミステリアス感を醸しております。
中の人スタッフseriにミステリアス要素が無さ過ぎ問題ゆえ、せめてHPは神秘的に。

もちろん冗談です。
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電子書籍やデジタルコンテンツの真価と進化を共に楽しめるよう、この業界の未来を自分達が率先して照らせるよう、最も注目して頂きたいのは「電子書籍の制作料金体系」とかではないぞ!という理由もあり、ぱっと見、雑多とも思える記事メインの構成で運営しております。
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さて、前置きが長くなりました。
長くてもきちんと記事に関する前置きなら良いと思うんですが、書いてて思った、この前置き、本文とあんま関係ないなーと。
それでは宜しくないので、どうにか本文との橋渡しをしなくてはいけませんね(自業自得気味)。

この記事は、HPの「Intelligence」というジャンルに属しますが、技術的な智見というより、読者目線寄り、というか、ある意味電子書籍の制作サイドにいるからこそ、ずっと気になっていたけれど、技術系ではないから後回しにしていた考察になります。

あ!そうだ。
技術系知識の件じゃないけど「Intelligence」に分類するから、冒頭で言い訳を始めたら前置きが長くなった、ということにしておきます。

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さて、記事タイトルの通りなんですが、同じ本を紙版と電子版で読んだとき、感想は一緒になるのだろうか、と以前から少々気になっていました。
調べ始めると言葉の迷路に入り込んでしまうのですが、「感想」と「レビュー」がそもそも異なる意味なので、ゴールが見えづらいです。

仕事柄というのもあり、オンライン書店のレビューを拝読することが多いのですが、「電子書籍」「単行本」「文庫」といったように、「買う」行為のために購入ボタン(別ウィンドウで購入ページが開く等)がきちんと分かれているんですよね、当たり前か。

レビューアイコン

では、「どの媒体で購入したか」でレビューもページ分けされているかというと、そんなことはないです。
タイトル/書影/書籍の基本情報/紹介文等々が掲載され、その後レビューが続きます。
書籍に関する情報は、媒体が何であれひとつに纏められているのが、今まで目にしてきた中では普通です。
*一つに纏められているので、紙と電子で先に発売された方の日付けが記載されており、実際には別日の発売だったとしても、同時発売のように見えてしまうこともあります。

〈例〉
(1)10年前に出版された紙書籍が最近電子化&配信されたとしても、10年前の日付けで紹介されている(電子版奥付には制作又は配信年月日等が明記されているでしょうから、あくまで書店の発売日欄等の話です)
(2)『■□●○▼△』というタイトルに惹かれて買ったのに、内容が全然タイトルと関係ない。もうこの書店で電子書籍を買うのはやめよう、というレビューが紙書籍購入ページに表示されている
(3)ソースをコピーしたかったから参考までに電子書籍版を買ったが、固定型レイアウトだから文字情報としてソースをコピーできないとレビューで指摘され、紙書籍購入ページに表示されている

といったレビューがあったとします。

(1)は紙書籍の発売年月日なので、電子書籍がいつ配信開始されたのか知りたい人には不便です。同じテーマでより発売日が新しい書籍を手に入れたいと思っている場合は、混乱してしまうかもしれません。

(2)は、電子書籍か紙書籍かではなく、タイトルと内容の整合性の問題になるため、媒体の良し悪しとは別問題なんですが、「電子書籍が悪い」ような切り口になってしまっています。

(3)プログラミング書を電子書籍で買った場合、それがリフローかフィックスかで使い勝手がかなり変わります。固定型レイアウトの電子書籍に対するレビューですが、紙書籍購入ページでもこのレビューが表示されるので、やはりちぐはぐな印象になります。
紙か電子か、ではなく電子の中でのつくりの違いが問題になっているのに、です。

特に(2)(3)の例で挙げた感想やレビューを目にすることは、書籍全体に対して、相対的には少ないかもしれません。
圧倒的に内容の感想、そこから読み手が何を考えたか…といったレビューが多いので、媒体が何であれ、共通の話題として違和感がないものが多いです。

しかし、です。
ここに「オーディオブック」という選択肢が入ってくると、またかなり事情が変わってくるのかなと思ったりもします。

「内容が面白く、夢中になっていっきに読んだ。私はx時間で読んだが、早い人だとy時間くらいで読み終えるかも!」

と、自分の目で「読んだ」感想を、ユーザーがレビューに書き込んだとします。
このレビューはオーディオブックの購入ページでも表示されるようになります。
自分で読むスピードと、オーディオブックが読み上げるスピードはイコールではないので、感想の内容が合わなくなってくるのです。

臨場感たっぷりにセリフをためる、しっかり理解してほしいからゆっくりめに朗読する、というオーディオブックならではの配慮がされている場合、一冊の本を終えるまでの時間差が出てきます。

AIによる読み上げ機能ならば平坦な読み方なので時間差はあまり気にならないかもですが(意図的に倍速等にした場合は除く)、「読む」行為と「聴く」行為の感想が一致しなくなるところも、紙と電子の感想の違いとは話題がズレますが、最近とても気になっているところです。

かと言って、どの媒体で購入するかによって表示されるレビューが異なっては、別の問題が発生しそうでもあります。
「こっちにはAと書いてあるのに、あっちには書いてないから内容をはき違えて買ってしまった」というような感じで。
純粋な感想は媒体に関わらず掲載、機能や媒体の特徴に関する意見は関連するページにのみ掲載、というのもややこしいですし。

書店側で対応をどうにかしてください、というリクエストの意図はないです。
紙が当たり前だった「本」という商品が、様々なコンテンツとして必要な人に必要な形で届けられるのは、アクセシビリティ/読書のバリアフリーといった、昨今浸透しつつある考え方にも合致しています。

読み手として、レビューから情報を得るときには、どの媒体の話題なのか気を付けながら取捨選択しようと思う次第。

では、なんでわざわざ記事にしたかというと、・・・まさかの・・・やっと本題なのかもしれない。

「電子書籍と紙書籍で同じ本を読んだのに感想は変わるのか」なんて、答えがないようなことを調べていたところ、「読書感想文コンクール(青少年読書感想文全国コンクール)は電子書籍だと応募できない」という、広報氏スタッフseriにとっては衝撃的な事実を知ってしまったからなんです。

え、コレ周知の事実なの?広報氏だけが知らなかったの?常識なの、そういうもんなの?
紙の本も電子書籍も好きですが、「電子書籍は読んだことにならないよ」と言われているようで、とても悲しくなってしまったんですよ、、、傷心。

とか申しつつ、理由も知らずに勝手に傷付くこともないな、と理由を探しに行って参りました。
秘匿事項でもなんでもないので、長旅になることもなく瞬殺でしたが。

この話題自体は2019年頃にアツかったようです。
明らかに出遅れておる、不覚。

青少年読書感想文全国コンクール

青少年読書感想文全国コンクールのHPより、感想文Q&Aの一項目に、「電子書籍を読んで感想文を書いてもいいの?→紙媒体での書籍に限りますのでご応募いただけません。」とあります。

このHPに理由は書かれていなかったんですが、事務局に問い合わせて真相を聞き、情報をオープンにしてくださっている方々がいらっしゃいました。

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曰く、紙書籍だと一度印刷されたものはなかなか修正ができず、よって審査側が応募者と同じバージョンを読んで確認を取ることができる。
しかし電子書籍の場合、更新頻度が高く、感想文の内容が書籍の内容と合っているかを確認するのが難しい。
また、更新履歴が明記されていない場合、内容変更があったのかといった事実確認自体が困難なため、読書感想文審査の環境を守る意味で紙書籍のみ対象、としているとのこと。
***

むむむ。
実際、制作~配信済の電子書籍でも、ユーザーからご指摘を頂いて文言を切り替えたり、増刷修正版を配信したり…ということはありますので、上記で理由として挙げられていることの意味はわかります。

が、電子書籍にも「紙書籍の第○版から制作しています」「増刷修正版は無料でデータを交換します」といった情報を付与し、きちんと配信/再配信をしている出版社を目の当たりにしている立場としては、それが理由なら、電子版に情報の発信源や修正内容が明記されているものは、電子書籍での読書感想文も認めて頂きたい、と思わず要求が喉から出かかって…あ、ここに書いてますね(´▽`)アハハ

残念ながら正しい情報を付与していない電子書籍が存在するのも事実であり、その曖昧さを回避するために「出処がはっきりしている紙書籍のみ読書感想文の対象とする」とルール付けられているのは仕方がない面もあると思います。
どこかで線引きしなくては、ですもんね、、、

学校でタブレットを使用して授業に取り組んでいるという流れを汲み、読書感想文のための読書も電子書籍が許容になると嬉しいなと思っています。
作者や編集者が意図することを大事にしながら電子書籍を制作している側の希望として。

電子書籍を読んだ場合でも応募可、となった時に、「電子書籍だと目が疲れるから読みづらい」などというレビューにならないように、目に優しく読みやすい電子書籍を制作して、その日を楽しみにしております。

・・・雑記レベルなので結論があやふやでもお許しくださいませ。
「感想」という意味で言えば、書籍の内容になるので媒体を理由に異なることはなさそうです、これまで調べていた中では。
「レビュー」となると、書籍の内容のみならず、媒体の使用感も含まれてくるため、それぞれの不便な点、改善希望点が挙がってくることもあり、他媒体を選択したときにも表示されるので気に掛かるところもあります。

レビューでのご意見は、制作側が更に良い電子書籍を作るためにはどうしたらいいか、のヒントになることもあり、有難い存在です。

不便だ、期待外れだという書き込みがなくなるように精進して参りますね。

電子書籍元年以降暫くは、「電子書籍だと物語の時系列を理解する能力が下がる」「文中のどこにポイントがあるか理解できない率が明らかに高い」等と言われてきたようですが、作り手の制作スキルの向上、各デバイスの性能アップ、様々なメディアへの展開等を経て、感想に差異がなくなっているのはとても嬉しいです。パソコンアイコン

(電子書籍だと更新が確認し難いから、、、確かにその通りという一面はありますが、読書感想文に影響するほどの更新内容なんて、そうそうないのでは…とか愚痴っぽく思ってしまったのは秘密にしておこう)

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